平成29年度 第2回緑区多職種連携研修会を開催しました

 
 平成29年11月19日(日)午後1時30分より、緑区役所講堂にて『なにが問題?! 急性期病院からの退院支援』と題して、第2回緑区多職種連携研修会を開催いたしました。当日は78名の方にご参加頂き、名古屋市医師会 在宅医療・介護連携室 スーパーバイザー 黒木信之氏の進行により以下のプログラムを行いました。

1.基調講演 「急性期病院のジレンマ、断らない救急と患者/病院のミスマッチ」
         名古屋市立大学病院 地域医療連携センター センター長 吉田篤博氏  
 
2.病院プレゼンテーション  
 ①名古屋市立緑市民病院  地域医療連携室 医療ソーシャルワーカー 早川由紀子氏
 ②総合病院 南生協病院   相談連携室 看護師  猪飼理恵氏
 ③藤田保健衛生大学病院  医療連携福祉相談部 医療ソーシャルワーカー 水野 幸氏

3.グループワーク 「病院と在宅、互いの課題を共有しよう」
  
4.意見交換・問題点の整理


 
 はじめの基調講演では、高度急性期機能をもつ大学病院が抱えるジレンマについて話がありました。24時間365日、重症から軽症まで「断らない救急」を使命とし受入れに努めるなかで、「高度急性期病院」の本来の機能にマッチしない“介護、経過観察、見守り”が目的となる入院希望患者が増えてきているという現状と、地域の医療機関への紹介をスムーズに行うための、地域医療連携センターのシステムについて説明がありました。また名古屋市で推奨している“ICT(はち丸ネットワーク)”について、患者情報を異なる医療機関の複数の医師から在宅の看護・介護・福祉の多職種にわたって共有する際に役立つことや、地域医療機関との連携時に患者登録を進めていることなどの話がありました。
 3つの病院プレゼンテーションでは、①退院支援の流れ ②退院カンファレンスの開催基準 ③情報提供の内容や方法について説明があり、下記のような特色も述べられました。
 緑市民病院からは地域包括ケア病棟やあんしん連携カードの活用、事例を通した退院支援の様子が紹介されました。
 南生協病院からは連携室の役割に焦点をあてて、病院の仕組みや病院独自のインフォーマル支援の仕組みである「お互いさまシート」などが紹介されました。
 藤田保健衛生大学病院からは、地域や大学病院の特性と併せて、診療報酬加算の要件が退院支援業務にいかに影響し、要件の縛りのなかで実際どのように支援を進めているのか、より具体的な話がありました。 

 

  



 後半のグループワークでは病院側と在宅側の多職種が同じテーブルにつき、実践においての困りごとを共有するとともに、病院側・在宅側それぞれの課題とその対策ついて話し合いました。 

  

  


  
 グループ発表では、病院の課題としては「退院に向けての院内での情報共有」「在宅チームができることの把握」等が、対策としては「スクリーニング時の情報確認の徹底」「退院前に病院スタッフも地域に出て生活状況を確認する」等が挙げられました。 
 また、在宅側の課題としては「入院中の情報が不足し必要なサービスがわからない」「サービス調整のないまま退院が決まる」等が、対策としては「入院時には情報を積極的に病院側へ伝える」「退院後の情報をフィードバックする」等が挙げられました。 

 

  



 最後の意見交換では、入退院時に病院・在宅で相互に提供し合う情報がどのように活用されているのか、また実際に必要な情報にはどういうものがあるか等、“より効果的な情報共有”に向けて具体的な確認ができました。 

  

  



 当日はこの秋一番の寒波が到来し、暖房の入らぬ講堂でコートを着込んでいただいての研修会となりました。参加された皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。なお当日のグループワークの内容やまとめ、アンケート結果につきましては、後日、当ホームページに掲載を予定しております。
 今後も、多職種それぞれの専門性が発揮される連携支援、緑区におけるチーム力の向上を目指して研修会を企画して参ります。よろしくお願い致します。